「光の協奏」 〜鏡野吹奏楽団の為に
島田 広


私は少年時代、よく奥物部の自然の中で遊んだりしたものです。

その時目に焼き付いた光景…暖かな日の桜並木、川の煌めき、

真夏の大地の強烈な照り返し、稲妻、夕闇せまる谷間の蛍等々…は

全て美しく力強い光の記憶となって、今も心の中に息づいています。

鏡野吹奏楽団の持っている暖かくも鋭く輝かしい音色は、

私のそんな記憶の質感とどこかで繋がっているような気がしたので、

それをテーマに音楽を作ってみようと思い「光の協奏」を作曲しました。


 曲の中で、様々な光はいろいろな楽器の音色やメロディーとして現れますが、

必ずしも特定の情景を描写するではなく、幾つかが重なって複雑な様相を呈したり、

同じメロディーでありながらも全く別のイメージに変わったりします

(それはちょうど心の中でいくつものことを同時に想うのに似て…)。

また、それぞれのイメージに拘わらず、曲全体としては常に活発かつスリリングで、

非常に力動的な音楽となっています。


 演奏する上でとても難度の高い曲ですが、この文章を書いている段階でも既に、

鏡野吹奏楽団と弘田さんは私が考えた以上の素晴らしい響きを聞かせてくれます。

その技術力の高さ、私に思う存分曲を書かせて下さったことに多謝!